滲出性中⽿炎
中耳ってどこ?
耳のつくりは大きく分けて外側から外耳、中耳、内耳に分かれます。
そのうち、中耳は鼓膜を含む鼓室などからなります。
滲出性(しんしゅつせい)中耳炎ってなに?
鼓膜の奥の鼓室内(中耳腔)に滲出液(しんしゅつえき)が貯まる病気です。
「耳に水が溜まっていますね」などと言われたりします。
中耳腔で炎症が起こるとじわじわと液が滲み出るように生じ、これを滲出液と言います。通常は耳管から鼻の奥へ排泄されますが、様々な要因で上手く排泄されない場合に液が溜まってしまいます。
幼児に多い疾患で5〜7歳ごろにピークが見られます。
急性の炎症ではないので痛みはなく、お子さんが症状を訴えにくい場合があります。
症状
難聴、耳閉感など
原因
滲出液が多くなったり、耳管からの滲出液の排泄が上手くいかないことが要因です。
- 急性中耳炎が治りきらず、滲出液がじわじわと作られる状態が長引く
- 耳管の出口にあるアデノイド(扁桃の1種)が大きいため、物理的に滲出液が出にくい
- 急性副鼻腔炎などの炎症があり耳管開口部周辺にも炎症がある
- 幼児は耳管がまだ発達途中で上手く排泄されない
- ダウン症や口蓋裂のお子さんは耳管機能障害を合併することがある など
治療
①薬物療法
滲出液の排泄を促す薬剤やマクロライド少量長期投与と言って抗菌薬を通常の量より少なめに長く飲んだりします。
②鼓膜切開術 鼓膜チューブ留置術
薬物療法で効果が乏しい場合は、滲出液の排泄と中耳の換気を目的に鼓膜切開を検討します。
切開した部位はしばらくすれば自然と閉鎖していきます。長期的な換気などが望ましい場合は鼓膜にチューブを留置する場合もあります。
気をつけていただきたいこと
滲出性中耳炎を長期間放置するとより進行した癒着性中耳炎や真珠腫性中耳炎になりやすい状態となる可能性があります。
また幼児に多い疾患ですが、大人でもなる場合があります。耳管の出口にアデノイドではなく上咽頭がんなどの腫瘍性病変がある場合があるので長引く場合などは確認が必要です。